型枠大工はどんな道具を使う?腰袋から電動工具まで徹底解説

型枠工事の現場では、職人たちは多種多様な道具を駆使して、正確かつスピーディに施工を進めます。この記事では、現場で活躍する型枠大工が実際に使う道具や資材を、「腰道具」「手道具」「電動工具」「消耗材料」「繰り返し使う資材」「その他」の順にご紹介します。用途や特徴もあわせて解説しますので、職人志望の方から発注側まで、ぜひ参考にしてください。
現場監督さんなど、実際に型枠施工を行う立場でない方でも、型枠大工がどんな道具を使っているか把握しておくことで職人とのコミュニケーションの助けになるかもしれません。
*当社は、土木型枠を専門に施工しております。建築型枠専門の施工業者では使わない工具も含まれているかもしれませんのでご注意ください。
*まだ紹介できてない道具も、今後順次追加予定です。


腰袋に常備される基本道具(腰道具)

型枠大工の腰には、常に「腰袋(腰道具)」が装備されています。ここには、現場で即座に使うための基本工具が収納されています。

  • ハンマー(玄翁):釘打ちや型枠の調整に使う定番工具。

    一番よく打つ釘は45mm(パネルの加工に使用)で、次は65mm(パネルを立て込む際つなぎ合わせるために使う)。
    そのほかコンクリート釘や、面木を打つための通称メンクギなどさまざまなくぎを扱う。

  • 小バール:主に釘抜きに使用するが、ベニヤの目地を合わせてパネルを立て込みたいときの高さ調整にも使用。(足で小バールを踏んで高さを合わせながら、パネルに65mmの釘を打つようなやり方で。)うちでは小バールと呼ばずに江戸っ子と呼ぶことが多い。
  • スケール(メジャー):寸法確認の必需品。
  • スピードレンチ:インパクトドライバーで外れないPコンを手動で緩めるのに使用。
    作業スペースが狭くラチェットレンチでセパキャッチャーを回すのが難しい時は、こちらを使うことも。
    うちでは略してスピレンと呼ぶ。
  • ラチェットレンチ:鉄線(番線)の縛り、単管クランプやセパキャッチャーのボルトの締緩に使用。ハンマードリルを使用するまでもないちょっとしたハツリを行いたい時にハンマーでラチェットを叩いて、ハツることもある。
    ラチェット、ガッチャ、シノなど色々な呼び方がある。
  • 手ノコ:コンパネや桟木、面木の簡易カット用。
  • カッター:鉛筆を削る。樹脂製の目地材や止水版、セパが縛ってあるひものカットなどで使用。
  • 番線カッター:番線を切るのに使用。コンクリートに埋まった釘を抜くのにも使う。普通のカッター、水抜きパイプのカットなどに使用する、高速カッターと混同しないように、バンキリと呼ぶことが多い。

腰に携帯しないが頻繁に使う道具

腰袋には入れないが、現場で頻繁に使う重要な手道具があります。

  • 墨つぼ:均しコンクリートに躯体位置の墨出しを行う。パネルに対して躯体の天端の位置を出すなどに使用。
  • さしがね(曲尺):墨出しや直角確認に。パネルの表面、裏面で通りがあっているかを確認する際に使用。
  • 下げ振り:垂直の確認を正確に行うのに使う基本道具。
  • 水平器(レベル):型枠の水平を確認。パネルの垂直を確認するのにも使用するが、下げ振りよりも正確ではないので仮で角度を決める時などに使用
  • 勾配定規:擁壁など勾配付きの型枠の目安確認に。正確な確認には下げ振りを使うのが望ましい。
  • スクレイパー・ケレン棒:型枠や桟木についたノロ・バリの除去に。
  • 磁石:パネルから抜いた釘を集めるのに使用。
  • セパレーターフック:パネルの返しを立て込む際にセパとくっついたPコンを外に引き摺り出すのに使用。
    セパが穴から遠すぎると折れることがある。おそらく型枠大工は「耳かき」という呼び方をしている。
  • 結束線・ハッカー:鉄筋屋さんが主に使うツール。鉄筋同士を縛るために使用。型枠大工の場合鉄筋屋さんが縛った結束線を一旦切ってまた直す作業や、溶接前の仮止めとしてセパや鉄筋を縛ることがある。
  • CRC:油が取れて周りが悪いフォームタイやサポートのメンテナンスに使用。
  • 大バール/テコ棒:主に型枠の脱型作業時に使用するが、大型のパネルを立てる際たて起こしの調整にも使用。(小バールだと持ち上げる力が弱いため) うちでは大バールはバールと呼び、小バールは江戸っ子と呼んでいる。
  • 手動式鉄筋ベンダー:鉄筋を手動で切るのに使用。鉄筋は電動ベンダーで切り、挿し筋用に鉄筋を曲げるのにこっちを使用みたいなこともある。押し切りと呼んでいる。
  • 吊り金具:比較的大きめパネルを立て込む時にクレーン(レッカー)にこれをかけて使用。
  • スコップ・じょれん主に均しコンクリートの枠を組む時や、生コンクリート打設時に使用。
    現場によって使いやすいサイズが違うので、剣スコ、角スコともに大きめサイズ、小さめサイズ用意してある。
  • 金ゴテ・木ゴテ:コンクリート打設時に使用。こちらも現場によって使いやすいサイズが変わってくるので、いろんなサイズのものを用意している。
  • 溶接用の保護具・溶接棒:土木型枠の職人に取って溶接は命と親方が言っていました。

電動工具類

型枠大工は、精度と効率のために各種電動工具も活用します。
当社では基本マキタ製の工具を使いますが、ハイコーキ社のものを使っている、大工さんも多いかもしれません。

  • インパクトドライバー:Pコンの取り外し、単管クランプやセパキャッチャーの締緩に。強力なトルクが魅力。

  • ドライバドリル:打撃がないため、セパごとPコンを回す・穴あけに最適。仕上がりや再利用パネルを傷めにくい。

    ドリルは作業に応じて様々なソケットを使用する。
  • 丸ノコ:ベニヤや桟木の切断用。エラスタイトなど固くて手のこで切るのが困難なものにも丸ノコを使用。
    エラスを切ると刃が痛むので、ベニヤや桟木を切るものとで刃を分ける。
  • サンダー/グラインダー:バリ取りや仕上げ用。
  • 鉄筋ベンダー:溶接補強に使う鉄筋(10〜13mm)の切断・加工に使用。
  • ハンマードリル:桟木を均しコンに固定するための下穴あけ、ノロのハツリ作業。また、アンカーを揉む時などに使用。
  • フィニッシュネイラー:面木をパネルに打つのに使用。面釘で打つよりも断然速い。
    打つ時のパスン!パスン!音が気持ちいい。
    他の工具は、マキタ製が多いですが、こちらはマックス社のもの。
  • ブロアー:墨出し前や打設前の清掃に。ほこり・木くずを吹き飛ばす。
  • 高速カッター:水抜きパイプのカットに使用。結構重たい。
  • バイブレーター:コンクリートの打設時に使用。
    下手くそな人がバイブレーターをかけると、ベニヤがバイブレーターの先に当たり傷だらけになることも。
  • 充電バイブレーター:コンクリートの打設時に使用。
    メインは電気のバイブレーターを使い、最後天端を決めるときや、均しコンでバイブレーターを使う際はこっちを使用。
    40Vは、びっくりするくらい電池の持ちが良い。
  • 小型エンジン溶接機:溶接を現場で行うのに使用。溶接以外に電気のない現場で電気を取るのにも使用。
    おそらくこちらデンヨー社の、GAW 155ESが定番?使い方が荒いせいかうちでは2,3年で壊れてしまい修理も費用がかかるので、買い換える。(ガソリンで駆動)

    こちらはデンヨーのDAW 180SS。GAW 155ESよりも大きいので現場に軽トラで持って行って下ろすのは困難、場所を取るなどのデメリットはあるが、燃料が大量に入る、壊れにくい?(知り合いの業者が故障なしで何10年と使い続けていたので、真似して購入。)、パワーが強い?(ので、溶接時の鉄の溶け方がスムーズな気が)などのメリットもある。(軽油で駆動)
    デンヨーでなく、シンダイワ社のものを採用している型枠大工さんもいるかもしれません。
  • 延長コード:電源を延長するのに使用。タイコタイプと、延長線タイプ色々用意してある。


消耗する材料(使い捨て・短期使用)

  • コンパネ(型枠用合板):型枠の表面に使われる。数回使用可能。
  • 桟木(さんぎ):型枠の骨材に。用途に応じてサイズを使い分け。
  • 面木・目地棒:仕上げ角や目地用。
  • セパレーター・Pコン:型枠幅を保ち、打設圧を受ける。
    当社では丸井産業のものを使っています。
  • 鉄筋:土木型枠は溶接をすることが多いので、ある程度ストックしておいてある。10mm、13mmをよく使う。
  • 番線(ばんせん):資材の結束や仮固定に多用途。
  • ツメセン:ドリル穴の後処理(穴埋め)に使用。
  • アンカー:溶接セパや全ネジ、フォームタイを固定するために使い、浮き止めや引っ張りに対応。
  • 剥離剤:加工したパネルに塗る。打設したコンクリート面が綺麗になりやすい。またベニヤが痛みにくくなる。
    うちではさサナモールドという商品を使う。

繰り返し使える資材(現場資産)

  • 箱金物・クサビ:セパやPコンを固定する再利用可能な金具。
  • フォームタイ:型枠の締め方に使用。うちでは箱金物+鋼管をメインで使用するが、フーチング(ベース)や止めはフォームタイを使用することも多い。
  • 鋼管(パイプ)・単管:型枠・支保工・足場など多用途に活躍。
  • ターンバックル・チェーン・角引き材:膨らみや浮きを防ぐための締め道具。

    その他

  • 軽トラック:ちょっとした材料運搬に。
  • ワンボックスカー:人間も、道具も、材料もたくさん載せられる。
    (トヨタハイエースや、日産キャラバンなどが定番)
  • ユニック:型枠大工は材料運搬も大事な仕事。職人を大量に抱えている会社は運搬専門の従業員さんがいるかもしれませんが、小〜中規模の施工会社では職人自ら運搬することが多い。

まとめ

型枠工事は、精度・強度・スピードが求められる職人仕事です。どの道具を選び、どう使い分けるかで施工品質が大きく変わります。マルタカ工務店では、岐阜県、愛知県などを中心に、豊富な道具と経験をもとに、インフラを支える型枠工事を確実に行っています。現場のご相談はお気軽にお問い合わせください。

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